カナタの休日⚠️長文注意⚠️
2025.11.26 23:34
意味もなく平日の中央線に乗る。
13時という時間帯もあってか、ゆっくり座れるのがありがたい。
ぼんやりと西立川にある昭和記念公園が頭に浮かんだが、
「まもなく阿佐ヶ谷」のアナウンスを聞き、急に小腹が空いてきた。
1年前に食べた阿佐ヶ谷の「ともえ庵」のたい焼きを身体が覚えていたのだ。
開くドアを小走りで抜け、阿佐ヶ谷の商店街に向かう。
少し下町を感じる景色が、不思議と懐かしい感覚がする。
微かに炭と甘い香りがする先に「ともえ庵」の文字が見える。
名物の「白玉たい焼き」を注文する。
パリッとした薄皮と優しい甘さ、小豆と白玉とのマッチが、小腹と心を満たしてくれる。
バイトの青年がメモをとりながら仕事をしている姿を横目に、「自分ならミスしまくりだな」なんて考える。
用が済めば、再び中央線に乗る。
次は吉祥寺に行こう。
これも気まぐれ。
住みたい町として有名な吉祥寺ともあって、人で溢れている。
精肉店「吉祥寺さとう」のメンチカツバーガーを買い、そのまま井の頭公園に向かう。
青い空の下には、真っ赤な紅葉が一面に広がっている。
落ち葉を踏んだ時の「パリッ」という音が、最高に秋だ。
秋の音と香りを感じながら食べるメンチカツバーガーは格別だ。
腹八分になった後は、ボート乗り場に向かう。
井の頭公園といえば池だ。
こういうのはカップルで乗るのが定番なのだが構うもんか。
手漕ぎのボートに乗り腕を動かす。
水の抵抗が強く、思ったより腕が疲れる。
しかし、動かせば動かすほどボートが早く進むのが楽しく、気づけば直径200mほどの池を一周していた。
気分はボート選手だ。
ボートを楽しんだ後は古着屋巡り。
普段モノトーンコーデを制服の様に着ているカナタにとっては、まるで異世界。
店内も店員さんもお客さんもみんな個性的なオシャレ。
ハンガーにかかっている服を見ながら脳内でセルフコーデしてみる。
色、サイズ感、素材、ブランドetc
考えるほどに正解が分からなくなってくる。
いや、正解なんてないのでは?
結局、何を着るより誰が着るなのでは?
洗濯機の様にぐるぐるファッションへの疑問が脳を回っている。
ゲシュタルト崩壊をする直前にカナタは吉祥寺を後にする。
中央線に乗り、さらに西に向かう。
昭和記念公園のある西立川を目指していく。
車窓から見える景色が徐々に都心から離れて、住宅街が多くなっている。
西立川駅の改札を出るとすぐ目の前に昭和記念公園が見える。
井の頭公園よりもさらに広い昭和記念公園に入ると、ここが東京である事を忘れるほどの壮大な紅葉が広がっている。
公園に入ったのが15:30
閉園時間が16:30
少し急いでのんびりしなくては。
園内には売店もあり、軽食を買ってベンチで休んでいる人も多くいた。
カナタも甘酒と焼き芋を買ってベンチに座る。
夕陽を浴びる紅葉が赤い宝石の様に輝いている。
温かい甘酒と焼き芋が少し肌寒い時間にとてもありがたい。
途中、2人組のマダムに紅葉をバックに写真を頼まれる。
一瞬、「僕入れて3人で撮りましょうか」というボケが頭に浮かんだが、そんな度胸もなく止めた。
2人のスタイルがよく見えるように下から見上げる位置でシャッターを切る。
あっという間に1時間が経ち、落ち葉の絨毯を踏みながら小走りで駅に向かう。
遠くて近い旅行を楽しんだ後は、今日歩いた歩数を確かめながら家路に着く。
プリンス
哉太(27)
- T171cm
- Wkg


